◆カタカリ舞踊劇 観劇レポート(後編)

さて、カタカリ2日目。公演の最初に、リーダーでヴォーカルのハリクマールさんが表情とムドラ(手のジェスチャー)で物語を説明されました(通訳はモヒニアッタム舞踊家の丸橋広実さん。)そうして、昨日と同じ2人が幕を持ち上げました。いよいよ始まりです。
 
幕の内側では、登場する役者が演奏者や他の役者一人一人にあいさつをしています。相手の手などに触れてから、その手を自分の頭に当てるのです。それから、舞台の中心に立ち、お寺の御本尊の方を向いて右手で床を触り、その手を額に当て、頭を下げました。ヒンドゥーの彼らですが、宗教は違っても神様(仏さま)を敬う気持ちなのですね。

この日の演目は『マハーバーラタ』より『カルナの章』。見どころは、馬車での戦いです。クリシュナを御者にして、馬車に乗るアルジュナが、カルナ(御者はシャリヤ)と戦います。もちろん馬車も馬もなく、御者の後ろに立ったアルジュナとカルナは40cm位の木箱に乗っているだけです。カルナたちは私の席のすぐ横の通路に構えたので、舞台の右手に構えるクリシュナとアルジュナが真正面に見えています。

いよいよ決戦の時。驚いたことに、身体を揺らし手綱を握るクリシュナと弓を構えるアルジュナの姿に、馬車が見えるように思えました。(感動!)そして、アルジュナとカルナは木箱から降り、御者と共に舞台の中央に進んでいきます。カタカリ演者の異形がとても美しく感じられ、感情がひしひしと伝わってきます。見ているうちに、クリシュナの姿は実はこうだったのだとまで思えてきました。

3日目は、天女ウルワシとアルジュナの物語。見どころは3人の天女の舞でしょうか。逞しい男性役の踊りとは違って、ケララ州の女性舞踊モヒニアッタムのような踊りです。3人が横一列に並んで踊るのですが、一糸乱れずというのではなく、3人がそれぞれに歌に合わせて踊っているようです。踊りの特徴も違っていて、目や首を細かく動かしている人や、上半身の動きの大きい人など様々。

 化粧も違っています。一番年上の(ように見える)踊り手は、太く濃いアイラインですが、もうひとりはラインを細めに描いていて、一番若く見える踊り手は、さらに細くシャープなラインで描いているのです。伝統的な化粧の中にも流行があるのかもしれません。そして3人とも、顔がラメを振ったようにきらきらと光っています。浜崎あゆみみたいな感じ。昔から使われていた化粧なのか、最近取り入れられたものなのか、興味あるところです。女性役の化粧は他のインド舞踊の化粧に近いのですが、やや濃いめ。男性が女性を演じるということもあり、3人の踊りは妖精のような非現実的な魅力に満ちていました。

今回の舞台はハリクマールさんの演出なので、別のグループでは、また違ったふうに見えるかもしれません。また機会があれば見たいなあと思っています。なるべく前の席に座って、どっぷりとカタカリの世界にのめり込みたい。

 



◆「ゴティプァ舞踊団」来日公演

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◆カタカリ舞踊劇 観劇レポート(前編)

◆オディッシィのこと(その3)

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◆「インドを食べる」浅野哲哉

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◆C.V.チャンドラシェーカさんのこと