◆カタカリ舞踊劇 観劇レポート(前編)

カタカリは、インド・ケララ州の舞踊劇です。歌舞伎のように男性のみで演じられ、仮面のようなメークをしています。なにしろ英雄役は、緑の顔に赤い大きな口、えらのような白い顎ヒゲ。後光がさしたような強大な冠をつけ、マリー・アントワネットのドレスを膝下でちょんぎったようなふくらんだ衣装。左手に猛獣のような銀の付け爪。別世界へ迷いこんだような異形なのです。

セリフは、2人の歌い手が舞台の奥で掛け合いのように歌います。言葉はケララ州のマヤーラム語です。舞台の左手には、太鼓(チェンダとマッダラム)を身体に結わえた2人の演奏者。メロディ楽器はありません。歌い手も小型のゴングと小型のシンバルを持っています。
 
東京公演は、四谷の東長寺でおこなわれました。神聖な楽器であるほら貝のシャンクが吹かれて舞台が始まります。ベッドカバー位の大きさの布で幕が降ろされました。両端を2人の人が持っています。やがて幕が揺れはじめました。幕の裏に役者がいるのです。いたずら好きな役者は幕をつっついたりしています。早く姿が見たい!

冠がちらちら見え始めました。幕が激しく揺れています。役者の顔が見えました。幕を身体にからめるように踊りながら役者の登場です。簡単な仕掛けだけど、どきどきします。わあ始まったッて感じ。新しい人物が登場するたびに幕が降ろされますが、その度にわくわくです。(女性役は大人しく表れます。)
 
あんなに大きな衣装をつけているのに、激しく踊るのには、驚きました。足の外側だけを地面に付けるだけで、とても早いステップを踏んで行きます。メリハリのきいたシャープな動きです。膝下に鈴をつけていますが、ステップの音も低く大きく響いていました。この日の演目は、インド叙事詩『マハーバーラタ』より、『ドゥシャーサナ殺し』でした。

悪役のドゥリヨーダナとドゥシャーサナが、ムドラ(ハンドジェスチャー)で会話しています。なめらかでクリヤーな手の動きです。夢中で見ていると、反対側では、クリシュナが、顔の筋肉を動かして笑っています。「あーどっちも見たい!」と顔を右に左に忙しく動かしていました。最後のビーマとドゥシャーサナの戦いでは、ドゥシャーサナの叫び声が響き渡り、太鼓の音も最高潮。(悪役だけが叫び声をあげます。)終わったときには、耳が少し遠くなっていました。

表情やステップ、ムドラなどインド舞踊の参考になることはとても多かったのですが、それ以上にカタカリの世界を楽しめました。あまり気にいったので、翌日も出かけることに。この日は幕の中が見える横位置に座りました。そのことは、後編で。

 



◆「ゴティプァ舞踊団」来日公演

◆ラマニ・ランジャン・ジェナ先生

◆カタカリ舞踊劇 観劇レポート(後編)

◆オディッシィのこと(その3)

◆オディッシィのこと(その2)

◆オディッシィのこと(その1)

◆「インドを食べる」浅野哲哉

◆「お気をつけてよい旅を」モハンティ三智江

◆インド舞踊のお稽古では

◆C.V.チャンドラシェーカさんのこと